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口腔筋機能療法の具体的方法について
2025.01.22
歯科皆様、こんにちは。
本日は「口腔筋機能療法の具体的方法について」というテーマでお話しします。
以前ブログでも御紹介させて頂きました口腔筋機能療法(MFT)とは、口腔習癖や口唇閉鎖不全、低位舌など非生理的な姿勢、口腔周囲器官の非協調性から生じた構音時や摂食・嚥下時の舌突出癖(タングトラスト)など非生理的な運動パターンを再学習プログラムにより改善し、関連器官の生理的な姿勢と機能の獲得できるようにするための治療法です。本日はその具体的な方法につきましてご紹介させて頂きますが、口腔筋機能療法を行う前に、まずは口腔機能についての検査を行った後、課題点を把握することから始まります。舌突出癖(タングトラスト)、口腔習癖、舌の状態、舌小帯、舌姿勢位、口唇の状態、口唇の姿勢位、オトガイの状態、鼻閉、扁桃肥大、口蓋形態、咀嚼筋の強さ、顎関節の状態、発音、身体姿勢、咀嚼パターン、口唇閉鎖力、患者さんと保護者の状態について検査用紙を用いて検査を行います。例えば、嚥下時の舌突出のパターンの評価については、スプレーを用いてお口に水を含ませ、前方突出や側方突出の評価を行います。また、吸指癖はその時間、頻度、指の使い方などについて問診を交えて記載し、口腔内所見(開咬や歯列狭窄の有無など)との関連性について評価を行います。また、咀嚼パターンの評価では実際に食品摂取を行い、その動きの状態につきましての評価を行います。発音や咀嚼の状態については、ビデオなどに記録した後、評価を行います。次に実際の指導法についてですが、正しい嚥下機能を含めた舌の姿勢位や運動パターンの改善ならびに口腔周囲筋の改善のために、舌、口輪筋、咀嚼筋などの口腔周囲筋の筋力強化と正しい嚥下運動と咀嚼パターンの習得ならびに習慣化のステップを組み合わせた訓練を行います。
1.舌筋の強化方法
舌筋の強化は舌尖の強化、舌中央部にの強化に分けられます。舌の強化方法には、スティックに尖らせた舌を押し当てたり(図1)、舌中央部の挙上する事から始め、いずれ口蓋への舌挙上へと移行します。舌の可動域の確認、運動性の向上には舌銭尖で口角と上下口唇を舐めながら、左右になぞることで習得を図ります(図2)。
2.咀嚼筋の強化方法
咀嚼筋の強化は咬筋(図3)や側頭筋(図4)の収縮を触診にて触診しながら噛みしめを行ったり、軟性のプラスチックで上下顎咬合面を覆いながら、噛みしめと脱力を繰り返す方法などがあります。口腔周囲筋の強化につきましては、紐を付けた直径25mm程度のボタンを口腔前庭に保持させながら、紐を牽引し口唇の閉鎖力の向上を図るボタンプルという方法を行います(図5)。
3.適正な嚥下の習得方法
正しい嚥下の習得方法の前に、まず切歯乳頭後方部(スポット)に舌尖部を置くことを指導し(図5)、舌全体を口蓋に押し付け(図6)、咬頭嵌合位で口輪筋と頬筋の収縮させない嚥下法を訓練します。また、水を舌背に集め、嚥下させる方法がありますが、このためにはストローを用いた舌位の確認法が有効です。口腔内に入れた水を舌背に集めた上で、左右の犬歯でストローをくわえ、ストローと口蓋の間に舌尖部を位置付け、その位置を維持しながら嚥下する方法です(図7)。舌広報部を挙上させ、軟口蓋と接した位置を再現するするため、「カッ」と発音させることから始め、発音直前の位置で開咬状態のまま水を嚥下させる訓練がありますが、嚥下の口腔期の訓練となっています。
4.口唇の訓練方法
口唇の訓練法はボタンプル(図8)の他に翻転した上口唇や過緊張を伴う下口唇の改善を図るための口唇マッサージ法や伸展訓練法がります。
5.舌位や口唇位の習慣付け
舌位、口唇位の習慣付けには訓練方法を吹き込んだテープなどを用いて就眠時に舌位を誘導することで習慣化する方法、訓練で習得した位置が意識下だけではなく、無意識下でも行われる様に強化を図る。
このような機能訓練法を基本訓練、補助訓練、発音訓練などに分けて訓練方法を組み合わせ、段階的に実施し、意識化、機能習得、無意識化へと移行させるのが狙いです。本日は口腔筋機能療法の具体的方法につきましてご紹介させて頂きました。







