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矯正治療後の後戻り(再発)について
2024.11.28
歯科こんにちは。本日は「矯正治療後の後戻り(再発)について」というテーマでお話します。
後戻り(再発)とは矯正治療によって改善された正常な歯列、上下顎歯列の対咬関係、顎関係などが矯正治療前の状態に戻る現象で、矯正治療後の再発の原因と防止策について非外科的矯正治療と外科的矯正治療に分けてお話します。
ア.非外科的矯正治療の再発の原因と再発防止策について
後戻り(再発)の原因
1.保定装置の装着に対する患者の使用協力が十分に得られなかった場合
2.保定期間が不十分であった場合
3.症例ごとに適切な保定方法を選択しなかった場合
4.機能性要因などの不正咬合の原因が改善されてなかった場合
5.すべき咬合調整が不十分だった場合
6.当初の治療計画の変更を余儀なくされた場合
後戻り(再発)は、上記の様な様々な原因により自然保定が得られない事で生じると考えられます。矯正治療後の再発の状態や程度によって、再度、固定式装置を装着し全顎矯正治療を行わなくてはならない場合やMTM(部分矯正)やプリングリテーナーなどの可撤式装置で対応できる場合もありますが、再治療後の保定については後戻りした原因に十分配慮した適切な方法が必要になります。原因排除が後戻り(再発)の防止に繋がる訳ですが、一般的な再発防止策は次の通りです。
一般的な再発防止策
1.長期保定
保定装置の装着は長期間におよぶ確実な指示通りの使用協力が必要となります。通常、永久歯列期の動的治療後の保定期間は2年程度で、可撤式保定装置の場合、最初の1年目は終日、2年目は夜間(就寝時)のみ使用するのが一般的とされています。
2.オーバーコレクション
動的治療後は、ある程度の後戻りが生じるという前提で、適切な位置を超え過度な移動を行い、後戻り後の安定した正常咬合を得るための考え方で過蓋咬合、開咬、捻転歯などの症例に適応。
3.早期治療
顎の成長発育が旺盛な時期に矯正治療を行う事で、できるだけ安定した結果を得たい場合に行います。
4.永久保定
固定式保定装置、ブリッジ、インレーなどの補綴処置などによる永久的な保定が必要な症例に行います。正中離開や空隙歯列弓などの保定に適応
5.口腔習癖の除去
口腔習癖が保定後も改善されていない場合、再発の原因となるので動的治療中や保定期間中を通して除去を図る。
6.口腔筋機能訓練法(MFT)
矯正歯科治療後の安定性を得るため、筋圧の排除や筋機能訓練による筋圧の増加を図る場合に行います。
7.咬合調整
歯の位置が正しいと考えられる場合でも咬頭嵌合が不十分な場合、咬合調整を行う必要があります。
8.セプトトミィ(Septotomy)
捻転歯は長期にわたる器械保定を行っても保定装置を除去する事で再発する確率が高いとされています。原因は中隔横断繊維などの歯肉繊維の再配列の遅延と考えられていますので、歯頚部周囲の歯周組織の切断する事、つまりSeptotomyが再発防止策と考えられています。この方法は外科的処置をであるため、近年ではあまり行われない方法です。
イ.外科的矯正治療後の再発の原因と再発防止策について
近年、矯正治療後に対する患者のニーズの高まりで、顎変形症に対する口腔機能の改善、回復、咬合の緊密化と安定の他、顔貌の審美性の回復が求められています。顎変形症に対する外科的矯正治療後の保定に対する考え方は、基本的に一般矯正患者の場合と同じですが、外科的矯正治療は顎間関係の不調和や顎骨の変形度が一般矯正患者より著しく大きく機能的な調和が必ずしも得られるとは限りません。そこで外科的矯正治療後の再発の原因と防止法について追加しました。
後戻り(再発)の原因
1.術直後の骨片の位置が不適切であった場合
2.術前・術後矯正治療が不十分であった場合
3.口腔機能が形態変化に順応できない場合
4.口腔習癖が残存している場合
5.不安定な咬合干渉が存在している場合
6.保定期間が不十分であった場合
7.保定装置の装着に対する患者の使用協力が十分に得られなかった場合
8.当初の治療計画の変更を余儀なくされた場合
一般的な再発防止策
1.移動骨片の正確な位置決めができている事
2.骨接合部の安定、確実な固定がされている事
3.咬合が安定している事
4.口腔機能が改善されている事
5.術前の口腔外科・形成外科と矯正歯科との良好な連携が取れている事
本日は「矯正治療後の後戻り(再発)について」というテーマでお話ししました。当院では私の長きにわたる治療経験から、永久歯列期の動的治療後の保定期間は2年程度では少ないと考えております。矯正治療後、10年以上前に矯正治療を行った患者様が再治療の御相談をされ、再治療を行う方もいらっしゃいます。また、再治療される患者様に対して、同じ保定方法では、再々治療を御行う可能性が高いと判断し、ほとんど場合、可撤式保定装置、固定式保定装置に関わらず、永久的な使用、永久的に接着としております。動的矯正治療自体も大変ですが、治療後の後戻り(再発)に対する保定の協力が永久的な歯並びや噛み合わせの安定には不可欠である事を良く御理解して頂きたいと思っています。
【監修者】
矢澤 貴(やざわ たかし)
【略歴】
東京都渋谷区生まれ 成城中学・高等学校(東京都新宿区)卒業
1989年 3月 日本歯科大学 生命歯学部 卒業
1989年 6月 同大学 臨床研修医 着任
1990年 3月 同大学 臨床研修医 修了
1991年 9月 磯貝矯正歯科医院(埼玉県八潮市)勤務
2016年 1月 藤城矯正歯科(東京都世田谷区)勤務
2017年12月 半蔵門スマイルライン矯正歯科(東京都千代田区)開院
2023年 4月 日本歯科大学 生命歯学部附属病院 矯正診療科 臨床講師 着任
【在籍・所属】
日本歯科大学 生命歯学部 附属病院 矯正診療科
日本矯正歯科学会 認定医
東京矯正歯科学会
甲北信越矯正歯科学会
米国矯正歯科学会