Q&A

Faq

Q&A Faq

当院には、矯正治療に関するさまざまなご質問が寄せられます。
その中でもとくに多いものをQ&Aとしてまとめました。
矯正装置の種類や治療期間のことなど、疑問がある方はまずはこちらをご確認下さい。
そのほか、治療に関するご質問がある方は、いつでもお気軽にお問い合わせ下さい。

Q

舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置、フルリンガルブラケット矯正装置)による治療は唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)よりも治療期間は長くなると聞いたのですが?

A

唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)と異なり歯の舌側(裏側)にブラケット矯正装置が装着されている舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置、フルリンガルブラケット矯正装置)は、診療に時間がかかる上、歯の舌側(裏側)は起伏が大きくデコボコしており、歯並びを唇側(表側)で揃えるために装着するワイヤーは複雑な形態に曲げる必要があったり、前歯のブラケットについては歯の舌側(裏側)でワイヤーと1点接触するため、特に傾斜や捩れの改善が難しいなど唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)よりも高度な技術が要求されます。
また、舌側(裏側)のブラケット矯正装置の方が唇側(表側)のブラケット矯正装置よりもブラケット間距離が短いため、細いワイヤーでも十分な矯正力が得られる反面、デコボコなどの歯並び状態によっては、歯並びを揃えるための硬くて太いワイヤーへの交換に時間がかかることから治療期間が長くなる場合がりあります。
また、歯はブラケットが接着している方向へ移動しやすいという特性があるため、歯の唇側(表側)への移動はしにくい反面、舌側(裏側)への移動はしやすいという特性があります。

Q

舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置、フルリンガルブラケット矯正装置)は発音しにくいとよく聞くのですが?

A

発音は口唇や舌、下顎の動きによるものですから、固定式の矯正装置や保定装置を装着することで、一時的な発音障害が生じます。
直接、舌が触れる歯の舌側(裏側)にブラケット矯正装置を装着する舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置、フルリンガルブラケット矯正装置) の場合、発音や咀嚼、嚥下などの舌の働きへの影響は特に大きいと考えますが、1〜2週間程度で軽減します。

Q

舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置、フルリンガルブラケット矯正装置)は食事や歯磨きしにくくなりませんか?

A

可撤式の矯正装置と異なり、どんな固定式の矯正装置を装着しても、食事や歯磨きしはにくくなります。舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置、フルリンガルブラケット矯正装置)の歯磨きの際、特に上の歯の舌側(裏側)は視認性が悪いため、唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)より、磨き残しの確認ができないのがデメリットですが、当院では歯ブラシの他、ジェットウォッシャーの併用を推奨しており、清潔な状態を維持して頂いております。

Q

舌側(裏側)ブラケット矯正装置( ハーフリンガルブラケット矯正装置、フルリンガルブラケット矯正装置)で矯正治療を始めたいのですが、唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)よりも治療費が高額になると聞いたのですが?

A

前述したとおり歯の舌側(裏側)は起伏が大きくデコボコしており、歯並びを唇側(表側)で揃えるために舌側(裏側)のブラケット矯正装置に装着するワイヤーは複雑な形態をしており、装置の構造上、唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)よりも高度な技術が要求されるなどの理由で治療費は高額になります。
そのため、上下の歯とも舌側(裏側)にブラケット矯正装置を装着する舌側(裏側)ブラケット矯正装置(フルリンガルブラケット矯正装置)の方が、下の歯の唇側(表側)にブラケット矯正装置を装着する舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置)よりも治療費は高額になります。
予算的な都合で舌側(裏側)ブラケット矯正装置(フルリンガルブラケット矯正装置)を躊躇されている方は、唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)と舌側(裏側)ブラケット矯正装置(フルリンガルブラケット矯正装置)との中間的な位置付けとなります舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置)というご選択もありますので是非ご検討下さい。

Q

マウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)を装着するだけで本当に歯並びは整うのでしょうか?

A

固定式のブラケット矯正装置の場合、歯に接着したブラケットを介して、ワイヤーの弾力性やゴムの力で歯の移動を行いながら歯並びを整えますが、可撤式のマウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)の場合、透明なプラスチック製のトレーを嵌め変えながら歯並びを整えることができます。
よく知られています海外製のインビザラインは、コンピューター上で設計され、ロボットにより製作されており、2022年9月の時点で世界100以上の国と地域で1400万人の方々が治療されています。
当院では、インビザラインの他、日本製のアソアライナーというマウスピース型矯正装置もご選択が可能です。

Q

どのような歯並びでもマウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)で治療できますか?

A

矯正装置も様々な種類がありますが、歯並びや咬み合わせの状態によって、向き不向きがあり、ご希望どおりの矯正装置で治療することができない場合があります。特にマウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)の場合、歯並びや咬み合わせの状態を選ばないワイヤーによるブラケット矯正装置と異なり歯の移動方向によっては難しい場合があります。そのため、ワイヤーによる矯正装置と併用して治療を行う場合があります。

Q

マウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)の装着時間やお手入れなど日常的に気を付けることはありますか?

A

可撤式のマウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)の場合、飲食時、会話が必要な会議やプレゼンテーションなど重要な場面でも外すことができますが、それ以外の時間は就寝時も含めて1日17〜20時間を目安に装着を続けます。毎日嵌め続けなくては、次のマウスピースに移行できないため、治療は終了しません。なお、飲食時は外せますので、歯磨きしやすく、お口の中を清潔に保つことができますし、金属アレルギーの方も心配なく矯正治療を受けられます。

Q

気になるのは前歯だけなので、そこだけ治療はする部分矯正(MTM)をすることはできますか?

A

全体的な歯並びや咬み合わせに大きな問題がなく、前歯や奥歯の一部分だけ歯並びの改善が必要な方に限られますが、部分矯正(MTM)による治療が可能です。
唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)などの矯正装置を広範囲矯正治療(本格矯正)ではなく限局的に必要な部位だけ装着したり、マウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)で必要な部位だけ歯を動かして歯並びを整えることができます。
例えば、全体的な咬み合わせや歯並びに大きな問題がなく、前歯だけが気になっている方なら部分矯正(MTM)が可能かもしれません。歯並びや咬み合わせの状態によっては部分矯正(MTM)では治療ができない場合や、矯正装置によっては部分矯正(MTM)ではご対応ができない場合もありますので、まずは当院までご相談下さい。

Q

矯正治療中ですが高校生になり、クラブ部活動で吹奏楽部への入部を検討していますが大丈夫でしょうか?

A

矯正治療に関しましてはスポーツをすることには特に問題ないのですが、吹奏楽器を吹くことは難しい様です。
ブラケット矯正装置を装着する事により、唇を震わせて音を出したり、リードに息を吹き込むことが困難なので、すぐに吹けるようになるのは難しい様ですが、これまで吹奏楽器を吹かれる患者様を治療してきましたが、どの方も数か月で慣れて吹ける様になっていますのでご安心下さい。

Q

現在妊娠中ですがレントゲン撮影しても大丈夫なのでしょうか?

A

矯正歯科クリニックでは矯正治療を行うための治療方針の立案、治療中の経過の確認、動的治療後や保定中の治療結果の評価など各ステップでのレントゲン撮影は必要不可欠な検査項目となります。
矯正歯科クリニックで撮影するレントゲン写真は主にパノラマ断層X線写真、頭部X線規格写真(セファログラム)の2種類です。
いずれもX線の被照射量は1回の撮影で0.03mSv(ミリシーベルト)とされています。
現在、当院でも使用しておりますデジタルレントゲン装置が普及しており、その被照射量は、0.003mSv(ミリシーベルト)と1/10となっています。
日本産婦人科学会による「産婦人科診療ガイドライン2017」では妊娠中の被照射量の胎児への影響について記載されていますが、100mSv(ミリシーベルト)未満であれば奇形や精神発達遅延などの危険性はないとしています。また、航空機による東京とニューヨーク往復で受ける放射線量は0.2mSv(ミリシーベルト)とされておりますし、歯科領域では撮影する範囲は胴体部分ではなく頭頚部で、胴体部分には鉛の防護エプロンを着用しますので、胎児への影響はほぼありませんので安心して下さい。
但し、それでも不安という方は、レントゲン撮影というより精神的ストレスが胎児へ悪影響を与えてしまうかもしれませんので、撮影は避けた方が良いかと思います。

Q

転勤の可能性があるのですが、もし通院ができなくなった場合、治療費はどうなるのでしょか?

A

診断時にお渡ししております約30項目に及ぶ当院規定のご承諾書であります「永久歯列に関わる同意書」の中にその詳細を記載した項目があり、その詳細は診断時にご説明させて頂いておりますが、原則、日本矯正歯科学会の「矯正歯科患者の転医に関しての矯正治療費の返金に関する指針」に準じておりますので、ご参考にして下さい。

1.乳歯列・混合歯列で行う第一期矯正治療(限局矯正)をされており、第一期矯正治療(限局矯正)分の治療費をお支払いされている方
ア.主訴または第一期矯正治療の目標が完了している場合、動的治療終了とみなしご返金には応じられません。
イ.主訴または第一期矯正治療の目標が完了しておらず治療継続が必要とみなされた場合、現在までの治療のステップ(治療の進行状況)と今後予想される治療内容を考慮した上で、ご返金額を決めさせて頂いております。

2.乳歯列・混合歯列で行う第一期矯正治療(限局矯正)をされており、永久歯列で行う第二期矯正治療(本格矯正)分の治療費もお支払いされている方
第一期矯正治療(限局矯正)が完了している場合、60%程度のご返金額が目安となります。

3.広範囲矯正治療(本格矯正)として永久歯列で、マルチブラケット矯正装置による抜歯治療を行った場合、ご返金額の目安は以下の通り、治療の各ステップ(治療の進行状況)で決めさせて頂いておりますのでご参考にして下さい。
ちなみに、非抜歯治療や他の治療方法についても治療終了までの治療内容の到達度などを考慮した上で、ご返金額を決めさせて頂いております。
また、保定におきまして再治療、保定装置の再製作が必要になった場合など、別途費用が発生致しますので、ご注意下さい。

治療のステップとご返金額の目安 ご返金額の目安
1. 歯並びの整列の初期段階 60〜70%
2. 犬歯の移動 40〜60%
3. 歯並びの空隙閉鎖 30〜40%
4. 歯並びと咬み合わせの仕上げ 20〜30%
5. 保定 0〜5%
Q

医療費控除って何ですか?また矯正治療は対象になりますか?

A

自分やご家族の病気や怪我などにより医療費を払った場合、確定申告を行うことで一定の金額について所得控除を受けることができるのが医療費控除です。
1年間でお支払いした医療費の総額の上限を200万円までとして、ご家族で年間10万円を超えた場合、または確定申告される方で、合計所得の5%を超える場合、医療費控除の対象となります。
確定申告をしてない場合、還付申告をすることで最長5年前まで遡って医療費控除を受けることができます。
矯正治療は医療費控除の対象になりますので交通費の記録を忘れずに、医療費に関わる領収書は大切に保管して下さい。また、ご家族の中で所得金額が一番多い方が医療費を支払い医療費控除の申告をする他、同じ年にご家族で受療されるのが得策です。
お支払いした矯正治療費が医療費控除の対象になるかどうかの詳細につきましては最寄りの税務署でご確認下さい。
万一、美容を目的とした矯正治療として医療費控除の対象外となった場合、当院では、有償になりますが診断書を作成致しますのでご安心下さい。

Q

日本矯正歯科学会の認定医って何ですか?

A

公益社団法人日本矯正歯科学会では、同学会の定欽に基づいて国民の皆様に適切な医療を提供するため、矯正歯科の医療水準の維持、向上を目指して、この目的を達成するために矯正歯科医療に関して適切な知識、技術、経験があるとみなした歯科医師を学会認定医としています。
認定医取得に関わる条件は以下の通りです。

1.歯科医師免許を持つこと。

2.歯科医師免許取得後、引き続いて5年以上の学会会員であること。

3.学会指定研修機関での矯正歯科基本研修を修了した後、その期間を含めて、5年以上にわたり矯正歯科臨床研修を修了しているか、同等の学識、技術、経験を持つとみなされていること。

4.学会の認めた刊行物に矯正歯科臨床に関連する論文を発表していること。

5.学会倫理規程を遵守していること。

上記1. 〜 5.を満たす歯科医師が学会審査に合格、登録した後、認定医資格証が交付されますが、5年ごとに更新を行い、更新審査に合格した歯科医師に認定医資格証が交付されます。
認定医資格取得、認定医更新後の5年ごとの更新審査では、更新後5年以内に所定の研修ポイントを獲得した上で、学会が認めた刊行物または学術集会において、矯正歯科臨床に直接関係する報告を行いますが、第3回目の更新からは別に定める所定の研修ポイントのみでも更新が認められています。
なお、学会が認めた指導医や臨床指導医の資格につきましても同学会のHPをご確認下さい。

●矯正治療に伴う一般的なリスク・副作用

  • ・公的健康保険適用外の自費(自由)診療となります。
  • ・矯正装置装着後は違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、数日から1、2週間で慣れるのが、一般的だと考えます。
  • ・歯の動き方には、個人差があるため、予定していた動的治療期間が長くなることがあります。
  • ・不規則な通院、矯正装置の脱離や破損の頻発、矯正装置や保定装置などの使用協力の欠如、動的治療中のエラスティック リング(顎間ゴム)の使用協力の欠如、虫歯や歯肉炎、歯周病の要因である不適切な歯磨きやかかりつけ歯科医での定期検査の欠落による動的治療の中断など、患者様の協力が得られない場合、動的治療期間の延期、歯並びや咬み合わせの後戻りの原因となります。
  • ・固定式の矯正装置を装着している場合、歯磨きがしにくく、虫歯や歯肉炎、歯周病になるリスクが高くなるので、日常的に適切な歯磨きを行う他、かかりつけ歯科医での定期検査が必要となります。
    歯が動くことで、治療前の検査では確認できなかった小さな虫歯が見つかったり、親知らずや根尖病巣(歯根の先端の病変)があると炎症を起こし、歯肉が腫脹したり、痛みが出たりすることがあります。
  • ・歯が動くことで、歯茎がやせてブラックトライアングルなど審美的な弊害が生じることがあります。
  • ・歯が動くことで、歯根の形が丸くなったり、短かくなったり歯根吸収を起こすことがあります。
  • ・外傷などの原因で歯根周囲を取り巻く歯根膜が変性してしまいますと歯を植えている歯槽骨と癒着してしまうアンキロージスを起こしてしまい、歯が動かないことがあります。
  • ・歯を動かすことで歯髄内の血管や神経の損傷により壊死することで歯が黒く変色してしまうことがあります。
  • ・金属アレルギーやラテックスアレルギーのある患者様は、動的治療中や保定中にアレルギー症状が出ることがあります。
  • ・矯正力による機械的外力や精神的なストレスなどにより、動的治療中に顎関節や咀嚼筋が痛い、口が開きにくい、顎関節部から音がするなど顎関節症状が生じたり、ごくまれに顎関節の関節頭が吸収したり、吸収が進行することがあります。
  • ・歯の形態を整えたり、歯幅の左右対称性を図るため、また咬み合わせを緊密にするために、詰め物(修復物)をしたり、許容範囲内で歯のエナメル質を削ることがあります。
  • ・動的治療の経過によっては、非抜歯による治療から抜歯による治療に変更したり、付加装置などを追加・変更するなど当初予定していた治療計画を変更することがあります。
  • ・動的治療中に矯正装置の一部、器具を誤飲することがあります。
  • ・固定式の矯正装置を撤去するにあたり、エナメル質が剝がれたり、表面に微小な亀裂が生じたり、詰め物(修復物)や被せ物(補綴物)の一部が破損することがあります。
  • ・永久歯が先天性欠如している場合、歯数を合わせるため抜歯による治療を行ったり、将来的にインプラントを埋入したり、義歯やブリッジなどの被せ物(補綴物)を装着する前提で隙間を作り、審美的・機能的回復を図ることがあります。
    また動的治療開始前に歯幅の調和がとれてない被せ物(補綴物)を仮歯に置き換えたり、ブリッジ(補綴物)のダミー部を撤去した状態で動的治療を行い、動的治療終了後に被せ物(補綴物)をやり直したり、義歯を入れたり、インプラントを埋入することがあります。
  • ・動的治療が終了し矯正装置の撤去後、可撤式の保定装置については指示通りの使用協力がないと、歯並びや咬み合わせが後戻りすることがあります。
  • ・顎の成長発育、加齢や歯周病などにより、歯並びや咬み合わせが変化することがあります。また加齢により、ほうれい線が生じると考えらえています。
  • ・動的治療終了後に親知らずの影響で、歯並びや咬み合わせが変化することがあります。
  • ・矯正治療を一度開始すると元の歯並びや咬み合わせには戻すことは難しくなります。
  • ・矯正治療により上下の前歯を前方や後方へ傾斜することにより、上下口唇の突出感が生じたり、増幅したりする一方、陥凹感が生じたり、増幅するなど変化することがありますが、矯正歯科医師による側貌のコントロールはできません。
  • ・治療期間は歯並びと咬み合わせに異なりますが、前歯だけ永久歯に生え揃う小学校低学年(1〜4年生頃)の混合歯列で第一期矯正治療(限局矯正)を行う必要がある場合、動的治療期間は約半年~1年半程度ですが、その後、全ての歯が永久歯に生え揃う永久歯列で第二期矯正治療として広範囲矯正治療(本格矯正)が必要になった場合、成人矯正同様、動的治療期間は約1年半〜2年半程度ですが、2年半以上要することもあり、通院期間は総じて10年以上に及ぶことになります。

●矯正歯科治療について

1.公的健康保険適用外の自費(自由)診療になります。
2.矯正治療の通院期間は歯並びを整える動的治療期間とその後、整えた歯並びが後戻りしない様に保定装置(リテーナー)を装着して頂きながら経過観察を行う保定期間の合計となります。
3.矯正治療の治療期間や通院回数は矯正治療の開始時期、不正咬合の程度、非抜歯・抜歯、使用装置などにより変わりますが、おおよその目安は以下の通りです。

  • ▼混合歯列での第一期矯正治療(限局矯正)、永久歯列での部分矯正(MTM)を行った場合
  • ・動的治療期間:約6か月~1年6か月、通院回数(毎月1回):約 6~18回
  • ・保定期間:約1年、通院回数(数か月に1回):約4回(※1)
  • ・合計通院回数:約1年6か月~2年6か月、合計通院回数:約10~22回
  • ▼永久歯列での第二期矯正治療(本格矯正)を唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)にて行った場合(※2)
  • ・歯を抜かない非抜歯治療での動的治療期間:約1年6か月~2年、通院回数(毎月1回):約18~24回
  • ・歯を抜いた抜歯治療での動的治療期間:約2年~2年6か月、通院回数(毎月1回):約 24~30回
  • ・保定期間(※3):3年、通院回数(数か月に1回):約12回
  • ・合計通院回数:約4年6か月~5年6か月、合計通院回数:約30~42回

※1 混合歯列で第一期矯正治療(限局矯正)を行った場合、約1年間の保定期間終了後も永久歯列完成まで経過観察を継続しますので、通院回数は4回以上になります。
※2 舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置、フルリンガルブラケット矯正装置)の場合、唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)よりも動的治療期間が長くなる場合があります。
※3 当院が規定する保定期間と通院回数で記載しております。

●舌側(裏側)ブラケット矯正装置(ハーフリンガルブラケット矯正装置、フルリンガルブラケット矯正装置)による治療に伴う一般的なリスク・副作用

  • ・傾斜や捩れの改善が難しいなど唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)に比べて、高度な技術が要求されるなどの理由で治療費が高額になります。
  • ・唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)に比べて、硬くて太いワイヤーへの交換に時間がかかることから治療期間が長くなることがあります。
  • ・歯はブラケットが接着している方向へ移動しやすいという特性から、歯の唇側(表側)への移動はしにくいという特性があります。
  • ・直接、舌が触れる歯の舌側(裏側)にブラケット矯正装置がついているため、唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)に比べて、発音や咀嚼、嚥下などの舌の働きへの影響は特に大きいと考えますが、一般的に数日から1、2週間で軽減します。
  • ・傾斜や捩れがある上の前歯にエラスティックチェーンを装着する目的で、また上下の前歯の咬み合わせを緊密にしたり、上下の咬み合わせの前後的なズレを修正するためのエラスティック リング(顎間ゴム)が装着できるように、付加装置として透明なアタッチメントを歯の唇側(表側)に接着することがあります。

●マウスピース型矯正装置による治療に伴う一般的なリスク・副作用

  • ・マウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)は、取り外しができる反面、破損や紛失することがあります。
  • ・マウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)は、ブラケット矯正装置より適応症例が狭く、治療期間が長くなることがあるため、ワイヤーによる矯正装置と併用することがあります。
  • ・厚みが薄いマウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)でも直接、舌が触れるため、発音については多かれ少なかれ影響があると考えますが、固定式の矯正装置や保定装置同様、一般的に数日から1、2週間で軽減します。
  • ・マウスピース型矯正装置(インビザライン)は毎日20時間以上、マウスピース型矯正装置(アソアライナー)では毎日17時間以上の装着を目安として、歯並びが整うまでマウスピースを嵌め変えますが、適切な装着を継続しないと歯並び自体にゆがみが生じることがあります。
  • ・マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、歯の唇側(表側)にアタッチメント(乳白色の光で硬化する突起)を接着する場合があります。
  • ・マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、コンピューター上で設計された歯並びの完成形までのすべてのマウスピースが製作されるため、破損や紛失した場合も含めて、動的治療中や保定中に虫歯などで詰め物(修復物)や被せ物(補綴物)により、歯の形が変わってしまった場合、既存のマウスピースが適合しなくなるため、改めて作り直すことになります。
  • ・マウスピース型矯正装置(アソアライナー)は、歯の生え代わりや顎の成長などお口の中が変化しても、詰め物(修復物)や被せ物(補綴物)により歯の形が変わっても、その都度、歯型を採ってマウスピースを製作するので、マウスピース型矯正装置(インビザライン)と異なり、より正確で再現性の高いマウスピースによる効率的な治療が期待できる反面、術者の手間と患者様のご負担が掛かかります。
  • ・マウスピース型矯正装置(インビザライン)では、歯並びの完成形までのすべてのマウスピースが作られるため、歯の生え代わりや顎の成長などお口の中の変化に合わせた作り直しができないため、治療開始年齢は顎の成長や歯の生え代わりなどが落ち着きお口の中が安定するほぼ永久歯列完成期からになります。

薬機法において承認されていない医療機器「マウスピース型矯正装置」について

当院でご提供しているマウスピース型矯正装置は、薬機法(医薬品医療機器等法)においてまだ承認されていない医療機器となりますが、当院ではその有効性を認め、導入しています。

○未承認医療機器に該当
薬機法上の承認を得ていません(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構ウェブサイトにて2023年2月14日最終確認)。

○入手経路等
装置により異なりますが、インビザライン・ジャパン株式会社、株式会社アソインターナショナルなどから入手しています。

○国内の承認医療機器等の有無
国内では、マウスピース型矯正装置と同様の性能を有した承認医療機器は存在しない可能性があります(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構ウェブサイトにて2023年2月14日最終確認)

○諸外国における安全性等にかかわる情報
情報が不足しているため、ここではマウスピース型矯正装置の諸外国における安全性等にかかわる情報は明示できません。今後重大なリスク・副作用が報告される可能性があります。
なお、日本では完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

※当該未承認医薬品・医療機器を用いた治療の広告に対する注意事項の情報の正確性について、本ウェブサイトの関係者は一切責任を負いません。

●部分矯正(MTM)による治療に伴う一般的なリスク・副作用

  • ・部分矯正(MTM)として、マウスピース型矯正装置(インビザライン、アソアライナーなど)で必要な部位だけ歯を動かして、歯並びを整えることができる場合もありますが、唇側(表側)ブラケット矯正装置(ラビアルブラケット矯正装置)などの矯正装置で行う場合、限局的に必要な部位だけ装着するため、反作用により動かしたくない歯(固定源)が動いてしまうことがあり、反作用を防止する目的でブラケットの装着範囲を増やすことがあります。
  • ・部分矯正(MTM)に限らず、広範囲矯正治療(本格矯正)においても、歯の形態を整えたり、歯幅の左右対称性を図るため、また咬み合わせを緊密にするために、許容範囲内で歯のエナメル質を削ることがあります。
  • ・部分矯正(MTM)は前歯や奥歯の一部分だけ歯並びの改善が必要であるというのが前提なので、全体的な歯並びや咬み合わせに大きな問題がない場合に限られます。
  • ・部分矯正(MTM)による治療に該当する歯並びや咬み合わせにもかかわらず、その状態によっては部分矯正(MTM)では対処できない場合や、矯正装置によっては部分矯正(MTM)ができない場合もあります。