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抜歯する?しない?ってどうやって決めているの?
2026.06.17
矯正歯科皆様こんにちは。本日は「抜歯する?しない?ってどうやって決めているの?」というテーマで、トータルディスクレパンシーについてお話しします。当院では、患者様の治療計画立案において考慮すべきトータルディスクレパンシーについてお話しします。トータルディスクレパンシーを算出することで、その患者様を抜歯して治療するのか、非抜歯で治療するのか、抜歯して治療するのかの判断材料になります。さらに、もし抜歯となった場合、通常、小臼歯抜歯となりますが、余ったスペースは大臼歯を手前の方向へ移動(近心移動)によりスペースを完全閉鎖する訳ですが、大臼歯の移動量の大小により、大臼歯のコントロールの重要性が変わります。トータルディスクレパンシーの量が大きいと、残存スペースが少なくなり、大臼歯の閉鎖はしやすい反面、大臼歯が近心移動(アンカーロス)しない様にコントロールすることが重要になり、難しい症例ということになります。トータルディスクレパンシーは前回「矯正治療でなぜ抜歯が必要なのか」でお話ししたアーチレングスディスクレパンシーにTweedが唱えた咬み合わせの安定に下の前歯の角度が重要な鍵になるとの考えに則り、下顎前歯を理想的な角度に改善するために必要なスペース量であるヘッドプレートコレクション(セファログラムコレクション)も考慮に入れています。このアーチレングスディスクレパンシーとヘッドプレートコレクション(セファログラムコレクション)、さらに下顎歯列にSpee彎曲が見られた場合、この彎曲を平坦(直線)化するための量として左右の平均値を加えた値がトータルディスクレパンシーとなり、前回の復習になりますが、アーチレングスディスクレパンシーとは、アベイラブルアーチレングス(第一大臼歯の手前である近心面から反対側第一大臼歯の手前である近心面までの距離、つまり歯並びの土台である歯列弓周長の距離)から、リクワイアードアーチレングス(第二小臼歯から反対側第二小臼歯までの歯冠幅径の総和)を引いた値で示され、叢生(デコボコ)を意味するため、抜歯になる可能性が高くなり、プラス(+)の場合、叢生の逆で空隙歯列を意味します。
では、下顎の左右第一小臼歯を抜歯した症例(図1)についてトータルディスクレパンシーを算出してみたいと思います。
まずこの患者様の歯型模型の図2、図3からアーチレングスディスクレパンシー;3.33mm(67.0-70.33)
さらにSpee湾曲の最深部の左右平均値;2.5mm(5.0÷2)つまり、Spee彎曲を直線(平坦)化するために2.5mm必要ということになります。次にこの患者様の側面セファロX線規格写真からFMIA値(セファロ写真に写っている外耳孔の上端点と眼球が収まる骨の輪郭の最下点を結ぶフランクフルト平面としっかり噛んだ状態で下の前歯の歯軸とのなす角)は49.0°です。理想値は57.0°ですので、その差8.0°分、下の前歯は後方(舌側)に起こさなくてはならず、2.5°起こすのに1.0mm必要になりますので、下の前歯を理想値57.0°にするためには3.2mmが必要になりますが、前歯は左右ありますので、6.4mm(3.2×2)必要ということになります。したがって、この患者様のトータルディスクレパンシー;12.2mm(①+②+③)
① アーチレングスディスクレパンシー;約3.3mm
② ヘッドプレートコレクション(セファログラムコレクション);6.4mm(8.0×0.8/簡略計算式)
③ Spee彎曲の左右平均値;2.5mm
下顎前歯を理想的な角度にするためにトータルディスクレパンシーが4.0mm以上必要の場合、マイナス(-)で表記し-4.0mm以上で抜歯、それより大きい値の場合、非抜歯という判断をします。この患者様は左右第一小臼歯を抜歯していますので、図2から15.9mm(7.93+7.93)のスペースが利用できる訳ですから、3.7mm(15.9-12.2)残存します。左右の大臼歯を近心移動で空隙閉鎖量は1.85mm(3.7÷2)と小さく閉鎖は簡単ですが、左右第一小臼歯の平均歯冠幅径7.95mm(15.9÷2)の1/4幅約1.99mmより小さい値であるため、大臼歯の近心移動量の許容範囲はマキシマムアンカレッジという分類となり、近心移動しないようコントロールが必要な難症例になります。
今回は、日常的に行っている分析作業の一環の一つでありますトータルデイスクレパンシーの算出ついてご紹介しました。



