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睡眠時無呼吸の診断について

2025.11.03

歯科
皆様こんにちは。本日は「睡眠時無呼吸の診断について」というテーマでお話をします。
睡眠時無呼吸の確定診断には終夜ポリグラフ検査(PSG/ Polysomnography)を行い、睡眠1時間当たりの無呼吸数と低呼吸数の合計である無呼吸低呼吸指数(AHI/Apnea Hypopnea Index)が5以上で日中傾眠、中途覚醒、倦怠感など自覚症状を伴う場合の他、AHI(Apnea Hypopnea Index)が15以上であれば本疾患と診断されます。さらに閉鎖型睡眠時無呼吸(OSA/Obstructive Sleep Apnea)における上気道の狭窄や閉塞を正確に把握するためには歯科矯正学の診断に必要な頭部X線規格写真(セファログラム)、X線CT、MRIが有用になりますが、とりわけOSAの画像診断法の一つでありますMRIは、撮影費用が高価でありますが、放射線被爆がなく、仰臥位(仰向け)で上気道の撮影でき、軟組織(軟口蓋、舌、咽頭など)の形態把握する上で、三次元での計測や評価ができるという点で優れています。一方、小児の睡眠関連呼吸障害の多くを占める小児OSAの確定診断は、2014年アメリカ睡眠学会の睡眠障害国際分類(ICSD-3/International Classification of Sleep Disorders 3rd)により、以下の様に定義されています。いびきや睡眠中における努力性、奇異性、閉鎖性の呼吸、眠気、多動、行動や学習の問題などの臨床症状のうち1つ以上にあてはまり、無呼吸低呼吸指数(AHI/Apnea Hypopnea Index)が1以上の場合の他、睡眠時間の最低25%以上の高炭酸ガス血症(PaCO2 >50mmHg)とする閉塞性低換気パターンに該当し、いびき、吸鼻圧波形の平坦化、胸腹部の奇異性運動のうち1つ以上の症状がみられる場合、小児OSAと診断されます。欧米の調査では、白人の閉鎖型睡眠時無呼吸(OSA/Obstructive Sleep Apnea)の主な原因は肥満とされていますが、日本の成人の睡眠時呼吸障害の重症度は白人と同程度にもかかわらず、肥満率が低いとされています。日本人のOSA患者の場合、頭部X線規格写真(セファログラム)分析から小下顎症という傾向という下顎骨の大きさや形態的要因に加え、頭蓋骨形態による咽頭腔の狭小化が閉鎖型睡眠時無呼吸(OSA/Obstructive Sleep Apnea)の発症と重篤化に影響していると考えられます。また中国人を対象とした調査では、非肥満者の小児OSAの発症と重症化に関しては、人種や社会環境も影響しているという報告が出ています。
本日は「睡眠時無呼吸の診断について」というテーマでお話をしました。次回は「睡眠時無呼吸の一般的な治療法と矯正歯科での治療例について」というテーマでお話しします。