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ミドル世代の虫歯の実態について

2022.08.07

歯科
皆様こんにちは。
1989年から実施されている皆様も耳にされたことがあるかと思います「8020運動」ですが、2016年に実施された最新の「歯科疾患実態調査」では80歳にて自分の歯が20本以上残存している人が50%を超え、虫歯や歯周病で歯を喪失する人が減少しているという結果が出ており、高齢者の口腔に対する健康意識が高まっていることを示してしています。
しかし、その一方で、日本歯内療法学会による調査によると、働き盛りのミドル世代である40~50代に「再発虫歯」が増加しているという結果も報告されています。
本日は「ミドル世代の虫歯の実態について」というテーマで、この調査結果を踏まえ、鶴見大学歯学部歯内療法学講座 教授 細谷哲康 先生のお話をします。

図1のとおり80歳で自身の歯が20本以上残存している高齢者、つまり「8020」達成者の割合は51.2%を占め、過去最高という結果になり、2022年に向けて60.0%という新たな到達目標も設定されています。
このように高齢者が自身の歯を残せるようになった大きな要因として、口腔に対する健康意識が高まったため、1日3回以上の歯磨きを行い、定期歯科検診を受診する人が増えたことによると考えられます。
その結果、虫歯(齲蝕)や歯周病により歯を喪失する人は減少しており、「虫歯」につきましては図2に示すとおりです。
さらに、歯科業界においても2000年、国際歯科連盟が提唱した「ミニマルインターベンション治療」、つまり、図6のように、できるだけ歯質や歯髄の健康な部分を残しながら虫歯の治療を行うという概念が主流になっています。
この「ミニマルインターベンション治療」という概念も8020の達成率に加担した要因の一つと考えられます。
ダメージの大きな歯も残せるようになったため、歯根部分にクラック(亀裂)が生じて、抜歯せざるを得ないということにもなっており、現在、歯の喪失原因は「歯の破折」が多くなっているとのことです。
高齢者の歯の保有率が高まる中、日本歯内療法学会が勤労世代である20~50代200人を対象に実施した調査によりますと、働き盛りのミドル世代である40~50代に「再発虫歯」が多いという結果が出たそうです。
虫歯治療の経験の有無について世代ごとに尋ねたところ、ミドル世代では90.0%以上の人が「ある」という回答だったようですが、40代と50代との治療経験の割合を比較したところ、4ポイントとその差は小さく、新たな「虫歯」の発生は減少していると思われます。
その一方で、図3のとおり「虫歯の再治療」を経験しているという人は、40代で46.0%、50代では70.0%を占めています。
また、図4のとおり虫歯で神経を抜いた経験(抜髄)があるという人は30代から増加し、40代で46.0%、50代では66.0%を占めています。
神経を抜いたという人に治療した歯を確認したところ40代で約70.0%、50代では約80.0%の人が「記憶が曖昧、覚えていない」という回答だったようで、この回答結果は、神経を抜いた歯を意識した口腔ケアができておらず、虫歯の再発リスクを高めているということを示しています。
さらに、神経を抜いた歯は「痛み」を感じにくく、「虫歯に気づきにくい」というリスクを伴うため、図5のとおり神経を抜いた歯の再治療は40代で20.0%、50代では38.0%を占めています。
ミドル世代で最近増加している虫歯は、「歯根齲蝕」と呼ばれるもので、本来、歯根部は歯茎に覆われているものですが、歯周病の人は、歯周治療後の炎症の治まりで、歯茎が引き締まり、歯根部が露出することで、同部が虫歯になりやすくなるということが分かっています。
また、以前に装着した補綴物の劣化部分から細菌が侵入し、虫歯になるケースも少なくないようですし、唾液の分泌量によっても虫歯の発生に影響します。
虫歯の原因となるプラークは食べ物などに含まれる糖分を餌として酸を作りだして、歯を溶かします。
唾液にはプラークが作り出す酸を中和し、溶けた歯を修復する再石灰化する作用がありますが、唾液の分泌量低下により、虫歯になりやすくなります。
唾液の分泌量が減少する要因として、ストレスや加齢による唾液腺の機能低下の他、精神安定剤や高血圧症などの薬剤は唾液分泌量を抑制する副作用があり、薬剤によっては虫歯の大きな要因と考えられています。
その他、シェーグレン症候群など口腔乾燥症を引き起こす疾患でも虫歯の要因となります。
この様に唾液の分泌促進は、虫歯予防の観点においても、非常に重要とされているため、「オーラルフレイル」が問題になっている高齢者だけではなく、ミドル世代にも「唾液腺マッサージ」などが重要です。
具体策として口腔周囲筋を動かして唾液腺を刺激したり、普段から噛み応えのある食材を良く咬んで摂食することでも唾液の分泌促進に繋がります。
「再発虫歯」の放置は歯の喪失に繋がりますので、健康寿命の延伸の観点からも、歯を多く残すことが重要になりますので、「定期健診」によるサポートによる予防が重要になると言えます。

本日はミドル世代の虫歯の現状について細谷先生の大変、興味深いお話でした。
加齢とともに唾液分泌量の低下、摂食嚥下機能の低下、咬合力低下に伴う活舌の低下など様々な障害が生じると考えられますので、虫歯予防の観点からも、頬筋運動、舌まわし運動、唾液腺マッサージなど続けていきたいと思います。
ミドル世代の虫歯の実態について
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ミドル世代の虫歯の実態について
【監修者】
  矢澤 貴(やざわ たかし)
【略歴】
  東京都渋谷区生まれ 成城中学・高等学校(東京都新宿区)卒業
  1989年 3月 日本歯科大学 生命歯学部 卒業
  1989年 6月 同大学 臨床研修医 着任
  1990年 3月 同大学 臨床研修医 修了
  1991年 9月 磯貝矯正歯科医院(埼玉県八潮市)勤務
  2016年 1月 藤城矯正歯科(東京都世田谷区)勤務
  2017年12月 半蔵門スマイルライン矯正歯科(東京都千代田区)開院
  2023年 4月 日本歯科大学 生命歯学部附属病院 矯正診療科 臨床講師 着任
【在籍・所属】
  日本歯科大学 生命歯学部 附属病院 矯正診療科
  日本矯正歯科学会 認定医 
  東京矯正歯科学会
  甲北信越矯正歯科学会
  米国矯正歯科学会