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現在のがん免疫療法について

2018/10/03

周知のとおり先日、京都大学 本庶佑 特別教授がノーベル医学生理学賞を受賞されました。

「第4のがん治療」である免疫療法は、治療効果が得られない民間療法という偏見があった時代の中で、1992年、免疫細胞である「T細胞」から「PD-1」遺伝子を発見したことで、新しいメカニズムによる免疫療法を開発、さらに「免疫チェックポイント阻害薬」として小野薬品工業免疫研究センター長 柴山史郎氏とともにニボルマブ(商品名:オプジーボ)の開発が功績として認められました。今回はそんな中、免疫研究と臨床応用に余念がない慶応義塾大学医学部先端医科学研究所長 河上裕 教授によるがんの免疫療法の現在についてお話をします。


20世紀初頭から始まった免疫のメカニズムを利用した「がん免疫療法」は、免疫細胞の主役である「T細胞」の能力を活かしきれてなかったため、中には効果が認められなかったものも多くあるようで、以前のがん免疫療法は、どれも免疫力を増強させるものでした。(図1)

そこで、「T細胞」が「がん細胞」を攻撃する際、「がん細胞」はタンパク質「PDL1」を出して、「T細胞」のたんぱく質「PD-1」受容体と結合し、「T細胞」のがん細胞の攻撃力にブレーキを掛けてしまうということを発見した本庶佑先生は、「PDL1」抗体と「PD-1」受容体の結合を抑制することで、T細胞ががん細胞への攻撃力を維持できると考えた訳です。(図2)

これは過剰な免疫応答にブレーキをかけるということにもなりますが、2014年、がん細胞を攻撃する目的で「免疫チェックポイント阻害薬」としてニボルマブ(商品名:オプジーボ)という新薬が誕生しました。

研究開発が盛んに行われているのは、ニボルマブに代表される「PDL1」/PD-1」阻害薬で、どんながんの種類にどの程度効果があるのかについて解明させてきたようです。

なお、「免疫チェックポイント阻害薬」は、ニボルマブの他、2018年9月末時点で6種類が国内で使用可能となりました。(図3)

奏効率は、既存の治療法で効果不十分な進行・再発がんに投与した結果5~30%で、多くは15~20%で、完全緩解ケースもあるようです。

抗がん剤、分子標的薬の場合、薬剤耐性が課題で、新たな耐性に有効な第2、第3世代の分子標的薬が開発されているものの、新たな遺伝子変異とイタチごっこになっているようですが、「免疫チェックポイント阻害薬」の場合、効果が持続するという特徴があります。


「T細胞」の活性化により、がん細胞への攻撃力が持続するため、延命効果がある反面、再発例もあるようです。

例えば、抗がん剤で治療した進行性の悪性黒色腫(メラノーマ)の5年生存率は10%前後に対して、ニボルマブの場合、3年を経過すると横ばい状態となり5年生存率は30%台で、部分奏効や現状維持であれ、延命できているという結果が出ています。

現在、「免疫チェックポイント阻害薬」の課題は「有効な患者さんの見極め」と「奏効率を向上させる併用療法の確立」だそうです。

「免疫チェックポイント阻害薬」は有効と無効が明確に分かれるそうで、事前に判別できれば、無駄な投薬による副作用に苦しまずに済みますし、高額な薬の無駄な使用を避けることができます。

なみにニボルマブの場合、2週間に1度の点滴投与で1回の薬価が約130万円ですので、1カ月で260万円で、高額療養費の対象となるものの、収入に応じて2万5千円~14万円が自己負担となるそうです。

効か無効の判別には「免疫バイオマーカー」による探索を行い、現時点で実用化されている唯一の「バイオマーカー」は「PDL1」で、発現量が多い程、「PDL1」/PD-1」阻害薬が効きやすいということが分かっています。

さらに複数の「バイオマーカー」を組み合わせることで、判別の制度を向上させることができるようです。

がん細胞は遺伝子変異が多いほど「T細胞」の免疫応答が起こりやすくなり、遺伝子変異の総量が多いほど「免疫チェックポイント阻害薬」が効きやすいとされています。

その他、「悪性黒色腫(メラノーマ)」や「非小細胞肺がん」の場合、遺伝子変異が多いため、がん種によっても「免疫チェックポイント阻害薬」が効きやすいようです。(図4)

また有効性に比べ予測できないとされる「免疫チェックポイント阻害薬」の副作用ですが、抗がん剤より少ないとされています。

しかし、まれに間質性肺炎、心筋炎、重篤な大腸炎など致死的な自己免疫疾患を併発するようです。

「免疫チェックポイント阻害薬」は単独投与より、抗がん剤や分子標的薬などの他剤併用の方が効きやすい場合もあるようです。

米国では抗がん剤とペムブロリズマブの併用で、非小細胞肺がんで承認されており、わが国でもメカニズムの異なる「免疫チェックポイント阻害薬」であるニボルマブとイピリムマブの併用では悪性黒色腫(メラノーマ)で承認され効果が認められているようです。

また、がん組織中の環境では、グルコースなどの栄養や酵素が減少し、異常な代謝状態となるため「エフェクターT細胞」が無力化してしまうため、免疫が作用しやすい状態へ変化させるため、メトホルミンやスタチンなどの生活習慣病治療薬を併用することも検討しています。

また、がん患者さんの「T細胞」を採取、がん細胞を攻撃する性質を遺伝子操作で組み込み、その作用を持った細胞を増強させて投与するという「遺伝子改変T細胞療法」という新たな免疫療法にも注目が集まっています。

その中で、がん抗原探知機として人工の「キメラ抗原受容体(CAR)」を備えた「T細胞」を用いるのが「CART細胞療法」という治療法で、白血病など特定のがん種に限られるものの効果は大きいようです。

再発例に有効な治療法がなかった急性リンパ性白血病に「CD19」を標的とする「CART細胞」を投与すると7~9割と高い確率で完全緩解するようです。

この治療法は2017年8月、米国で承認され、わが国でも2018年4月に再生医療等製品製造販売の承認が申請されましたが、1回の治療費が約5千万円と超高額なため、わが国での薬価が課題だそうです。

また、がん組織に入り込んでがんの特徴を記憶した「がん抗原特異的T細胞(腫瘍浸潤リンパ球:TIL)」を用いた「TIL療法」という細胞療法もあります。(図1)

患者さんのがん組織から採取したリンパ球は、末梢血内に比べ、がんを特異的に攻撃する「T細胞」が多いとされているいるようです。

また、「免疫チェックポイント阻害薬」の有効、無効の判別に「腸内細菌」が関わっていることが話題になっています。

悪性黒色腫(メラノーマ)では「免疫チェックポイント阻害薬」が効くタイプほど腸内細菌は多様性に富み、特定の善玉菌と悪玉菌が見つかっており、将来、腸内細菌が「バイオマーカー」として用いられたり、「プロバイオティクス」や「プレバイオティクス」として予防や治療へ応用できるかもしてないそうです。

免疫の解明は、がんをはじめとするあらゆる病気のメカニズムを解明する重要な鍵となるということがわかります。


今回は、「免疫チェックポイント阻害薬」による免疫療法について河上 裕先生のお話でした。「ニボルマブ」の作用は私にとって、大変、興味深いものでした。本庶 佑先生の功績が認められ、ノーベル賞受賞で日本中が賑やかでありますが、がんで苦しんでいらっしゃる患者さん方に誤解を招かぬよう、免疫療法についての正しい知識を身に着ける必要があるのではないかと感じました。



 


























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