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被検者の最少年齢が永久歯先天性欠如の発現に与える影響について

2018.06.01

歯科

本日は、2014年、幕張メッセで行われた第73回 日本矯正歯科学会大会で学術展示で発表した「被検者の最少年齢が永久歯先天性欠如の発現頻度に与える影響(Influence of minimum ages of subjects on the prevalence of permanent tooth agenesis)」について、論文形式の内容を変えてお話します。

 

わが国の矯正治療患者における永久歯の先天性欠如の発現頻度に関する疫学調査の対象年齢は、5~6歳としたものが多いと言われています。

しかし、臨床の場では、まれに対象年齢が低いと歯の形成が遅れ、あたかも永久歯の先天性欠如と判断してしまいがちな症例に遭遇することもあるため、欧州では被検者の最少年齢が低いことで、発現頻度が高まるという研究報告が出されています。

そこで、被検者の最少年齢によって、永久歯の先天性欠如の発現頻度に影響lについて検討してみました。

 

対象となる被検者は、歯数の異常に関わる先天異常疾患が認められず、永久歯を抜歯した経験のない7歳以上群の537名(男性208名、女性329名)のレントゲン写真から、智歯(第3大臼歯)を除く永久歯先天性欠如の発現頻度を記録し、統計結果を出しました。なお、レントゲン写真を複数枚撮影している被験者の場合、年齢が高い方の画像を評価対象としています。

全被検者537名のうち、10歳以上群の372名(男性125名、女性247名)を比較対象とした。


その結果、永久歯の先天性欠如は7歳以上で45名(全体の8.4%で、男性12名5.8%、女性33名10.0%)、10歳以上では40名(全体の10.8%、男性9名7.2%、女性31名12.6%)となり、7歳以上に比べて、10歳以上の方が永久歯先天性欠如の発現頻度が高いということが判明しました。

このことから、判定最少年齢の高い方が、永久歯先天性欠如歯の発現頻度が高いということが示され、被検者の最少年齢が永久歯の先天性欠如の発現頻度の評価に影響を及ぼす可能性があることが推測できました。



先天性欠如の発現頻度について、その他、色々な統計について調べてみました。

1.先天性欠如歯の歯種別発現頻度の男女別を調べたところ、7歳以上群では、男女ともに下の前歯が最も多く、次いで下の小臼歯の順で、その次は男子の場合、上の前歯、上の小臼歯が同数でしたが、女子の場合、上の前歯、上の小臼歯の順という結果になりました。

10歳以上群の男女別では、男子が下の前歯が最も多く、次いで下の小臼歯、上の前歯、上の小臼歯の順となり、女子は下の前歯、下の小臼歯が同数で最も多く、次いで上の前歯、小臼歯の順という結果になりました。


2.先天性欠如の欠如本数別を調べたところ、7歳以上群では、1歯欠如が67.5%、2歯欠如が25.0%、4歯欠如が5.0%、5歯以上の欠如が2.5%(図1)という結果になりました。

10歳以上の欠如本数別では、1歯欠如が69.0%、2歯欠如が24.4%、4歯欠如が4.4%、5歯以上の欠如が2.2%(図2)で、どちらも1歯、2歯欠如が9割以上を占めました。

ちなみに、どちらも3歯欠如症例はなく、573名のうち、最多欠如本数の症例では13歯欠損という結果になりました。

また、先天性欠如の発現頻度の上下別を調べたところ、7歳以上群では、上の歯が37.8%、下の歯が62.2%(図3)、さらに左右別を調べたころ、右側の歯が56.8%、左側の歯が43.2%(図4)となりました。

10歳以上群の上下別では、上の歯が39.7%、下の歯が60.3%(図5)、左右別では、右側の歯が54.4%、左側の歯が45.6%(図6)となり、どちらも先天性欠如の発現頻度は右下の歯が最も多いという結果になりました。


今回は、母校でお世話になっている歯科矯正学講座 新井先生のご指導の下、日本矯正歯科学会大会で発表した内容につきましてお話しさせて頂きました。当時データ収集が大変だったことが思い出されます。


被検者の最少年齢が永久歯先天性欠如の発現に与える影響について
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