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優れたリーダーの7つの秘密(前編)

2020.05.18

未指定

皆様こんにちは。

今回は「優れたリーダーの7つの秘密」というテーマを前半、後半に分け、アトラシアン社が発信する世界のビジネスパーソンに向けた情報サイト「WORK LIFE」のメインライターであるサラ・ゴフ・デュポンの日本のビジネスパーソンに役立ちそうなコラムをご紹介します。

 

よく耳にする「優れたリーダー」とはいかなる時も完璧な意思決定が下せるリーダーと言ったところでしょうが、相手ピッチャーの配給を完璧に予測し意思決定が下せる選手はいないのと同じで、実際、常に完璧な意思決定が下せるリーダーは世の中には存在しないということです。

では、優れたリーダーとはどんな人でどうすればなれるのか?

実は誰もが理想的と思えるリーダーは私たちの産物で、現実世界で、それを追い求めることには意味がなく、

それより変化への適応力を身に着けることが大切だそうです。

世界中の企業は昨今、言わば未知の大海を羅針盤も持たずに航海しているような状況、つまりAI(人工知能)にギグエコノミー、リモートワーク、顧客の態度など、10年前とビジネスを取り巻く環境は全く変わり、現在も刻々と変化している。

このような状況下でビジネスリーダーに求められるのは「変化への適応力」「変化の波を乗りこなす力」で、その力量によって優秀さが決まるとされています。

IT、法律、金融、医療など様々な業界の組織に対するコーチング歴15年以上のマイケル・クーパーは「チームにしても社会にしても今日の組織が生き残るためには変化に即応できる俊敏性と革新性が鍵となり、俊敏でイノベーティブな組織を築くためには、明確なビジョンを定め、組織内での信頼関係を築き、課題を発見することが今日のリーダーに必要である。」と言っています。

以下の通り、「優れたリーダーの7つの秘密(前半)」では7つのうち5項目をご紹介します。

1.優れたリーダーは「and型」思考

「誠実なリーダー」にありがちなのが、「自信」と「謙虚さ」、「率直さ」と「駆け引き力」などのうち、唯一かつ一方通行的な思考でなくてはならないと思い込んでいることだそうで、これは「誠実さ」からくる考え方ではあるが、部下たちが望んでいなければ意味がないという結論になります。

実際、「優れたリーダー」は、状況に応じ「自信」と「謙虚さ」を使い分けていて、自律性に長けている部下に対しては、それぞれが自己裁量で動ける多くの余地を与え、自律性に欠けている部下に対しては、徹底してすべきことの方向づけを示しながら行動をコントロールするそうです。

こうしたリーダーシップのスタイルは「A or (か)B型」ではなく「A and (と)B型」と言われていて、そのスタイルを確立するためには部下たちひとり一人の性格、スキル、能力、価値観に対する深い理解力と洞察力が要求されます。

まずは一定の時間をかけて部下の行動を観察することから始める訳ですが、ある問題に直面した時に、部下がどのような反応を示し、どのような行動を取ったのか注意深く観察し、その上で、コーチングが必要かどうか?叱った方がいいのか?具体的な指示を与えた方がいいのか?単に勇気づければいいのか?といったことを、その都度、判断し実行することが大事なのだそうです。

つまり、全ての部下をワンパターンで扱うという「誠実さ」はケースバイケースと捉えた方がよいのであるということになります。

2.優れたリーダーは異論反論を尊重する

組織におけるコンセンサス(全員の意見の一致)の確立は相当スキルを要する取り組みであり、それを成し遂げられるリーダーは良いリーダーの条件でもあり、組織のメンバー全員が組織のゴールや戦略に賛同し、それをどう成し遂げればいいのかを理解し、意思統一が完璧な形で図られているような理想的な組織と言えます。

しかし、実際、優れたリーダーとは言え現実の組織で100%完璧な意思統一は不可能で、自分の組織がそう見えたとしたら、それは錯覚であり、リーダーが掲げた目標や考え方に反対意見を持つ部下が反論してないか、反論できないと考えた方が自然である。

そのような状況を看過していると、リーダーとは異なる意見を持つ人間が影でリーダーの意向に逆らった行動を取るようになり組織の健全化が損なわれることになるので、「優れたリーダー」は、最終的な意思決定を下す前に、反対派の意見に耳を傾けることが重要なのでそうです。

むしろ最終的な意思決定の過程で反対派を関与させることで、反対派の責任感を強めることができる。

「反対だが、コミットはする。」とはアマゾンのジェフ・ベゾスの言葉である。

自分とは異なる意見・見解に耳を傾け、参考にすること自体、リーダーにとって難しいことではないが、反対意見を持つ部下に自分の本音を語らせるにはそれなりの努力が必要な場合があります。

つまりリーダーに対して、安心して反対意見が言える環境や雰囲気を組織に定着させる努力が必要で、それがない組織の場合、リーダーには以下のような取り組みが必要だそうです。

・職位の上下を問わず、組織全員に対して、常に自分とは異なる意見・見解を積極的に求めること。

・意見・見解を出してきた部下に対して「何故そう思うのか?」を必ず聞き、建設的な意見を交わす環境を確立していくこと。

・自分のアイデアや見解への建設的な反対意見や批判は、必ず興味と感心、誠意をもって受け止めること。

・自分の立場を守るために反対意見や批判をかわさずに相手の意見に対してもっと話が聞きたいという態度で興味を示し続けること。

・部下との議論の末、自分の考えとは異なる戦略や取り組みを遂行することになっても、全力を傾ける意思があることを明確に示すこと。

・議論の時は、自分が正しいという前提で主張し、自分が間違っているという前提で相手の意見に耳を傾けること。

・自分が率いる組織の中において、自分が最も経験が豊富であるという自負から、常に自分が正しいという思い込みは捨てること。

3.優れたリーダーは権限委譲に心地よさを感じている

意思決定とその責任はすべてリーダーが背負うべきであると考えがちであるが、優れたリーダーは部下たちへの権限委譲がうまく、部下の指示で動くことに心地よさを感じる傾向が強いようです。

こうしたリーダーたちはビジネスの現場、顧客との距離が最も近い部下たちに可能な範囲で意思決定の権限を与えることで、ビジネス判断の的確性とスピードの向上につながるということを分かっている。

「部下に意思決定を任せないのであれば、優秀な人材を採用する意味がない。私たちが人材を採用するのはその人が自分で何をすべきかを判断できる能力があるからである。」とはアップル創業者スチィーブ・ジョブスの言葉である。

もちろん、自分たちに「自分は何をしなくてはならないのか?」「何故そうする必要があるのか?」を深い理解を得られるまでは一定の時間がかかるが、それが確立できれば、部下を統制しなくても、組織はしっかりと機能するのである。

このように部下たちが自律的に動く組織を確立するためには以下のような取り組みが挙げられる。

・部下に対して遂行すべき仕事を与える代わりに解決すべき問題を与えること。

・高い目標を設定しそれをどう達成するかを部下たちに決めさせること。

・組織の利害関係者から何を言われようとも部下たちの意思決定を必ずバックアップする意思を明確にすること。

・部下たちの明らかな判断ミスを指摘しなくてはならない時も、人格や人間性を尊重する姿勢は崩さず、より良いと思われる結論を一緒に見出す姿勢を持つこと。

・「あるプロジェクトに関するメールのやり取りに必ず私をCCに入れること。」というような支持は絶対NGである。

4.優れたリーダーは部下にフィードバックを求める

作家であり、エグゼクティブコーチのビル・トリジュラはリーダーをダメにする最大の要因は「傲慢さ」であると言っています。

したがって、リーダーには「謙虚さ」が不可欠で部下に直接指示を出したり、アイデアをさせたりする状況では、必ず部下に意見を求めることが大切なことだと言っています。

自分の指示やアイデアに対し、部下に意見を求めるのは勇気がいるかもしれませんが、常に謙虚な姿勢で意見を求めることができれば、部下にとって仕事に対するパフォーマンスを高められる最良の方法である。

また部下にとって上司に直接意見を言うことは勇気のいることなので、組織の上下関係を超えて、お互いに敬意を払いながら反対意見が安心して言える環境を作ることが重要であるとしている。

Googleの幹部キム・スコットは組織リーダー向け著書「Radical Candor」に「部下に口頭で意見を求める時に、あなたの意見が聞きたいという興味を示した後、自分は心の中で6つ数える。」と記述している。

こうすることで、部下たちは沈黙を埋めようと何かを話し始め、リーダーは、それを起点に自分の仕事を改善する方法を部下とともに考えていくことができる訳です。

但し、リーダーの仕事に対していくつかの賛辞を述べただけで自分の義務が果たせたと部下に思わせるようなことは避けなくてはならないということです。

以下のように部下から意見を引き出すための方法は他にもある。

・自分がベストの状態でない時、自分の部下の誰かにそれを正確な言葉で告示させる許可を与えておくこと。

・部下の意見に耳を傾けるのは、その意見を理解するためであって、反論するためではないことを認識すること。

・建設的な批判が耳の痛い批判だったとしても、敬意を払い、率直な批判に対する感謝の言葉で自分の率いる組織全員に分かるように伝えること。

・「自分の仕事のことは自分が最もよく理解しているので、社内の地位が低い君には私の仕事は理解できない。貴重なご意見ありがとう。」などの返答は絶対に避けるべき言葉である。

5.優れたリーダーは「共感獲得型」のコミュニケーションを行う

コミュニケーションをとるべき相手に対して、その希望や怖れ、日々の課題などすべてがイメージできていることが条件となりますが、優れたリーダーはコミュニケーションを通じて部下たちの共感を得ることを重視するため、自分が何を話したいかではなく、自分が話す相手が誰で、何を最も聞きたがっているのかを前提にコミュニケーションをとることができるようです。

このような共感獲得型コミュニケーションは、相手にとって都合の悪い話をしなくてはならない時に効果的である。

以下の通りこの共感獲得型コミュニケーションを目指すために身に着けるべき習慣があります。

・相手の話に耳を傾けるため、対面で対話する場合、必ずPCの蓋は閉じ、携帯の電源は切っておくこと。

・自分の率いる組織のメンバーについては、どのような人物か私的レベルの情報も含め、可能な限り把握すること。

・対話の時に受けそうな質問、反論などはあらかじめ予測して答えを準備しておくこと。

 

本日は「優れたリーダーの7つの秘密(前半)」として、まず5つの項目についてご紹介しました。日本のビジネスパーソンに役立ちそうなコラムとありますが、あらゆる人間関係におけるヒントとなる大変、有意義な内容でした。

次回の後半では残りの2つの項目についてご紹介します。