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臨床現場における漢方薬の使い方について

2018/07/11

漢方医学は2004年から医学部・医科大学の授業に導入され、漢方処方が日常診療に普及してきているようですが、本日は、「漢方処方の仕組みと服薬指導」「漢方診療のハンドブック」などの著者である森クリニック理事長 森由雄先生の漢方の生かし方についてのお話をします。

 

西洋薬は手術が必要な疾患、有効な抗生物質がある感染症に処方され、漢方薬は慢性疾患や更年期などの不定愁訴の治療、検査では異常がない、西洋医学では原因が不定の症状、原因が判明しても有効な治療法がない症状に処方されるそうで、漢方薬、西洋薬それぞれに適応症があるようです。

例えば、症状の解消が難しい「冷え症」という病名は西洋医学にはなく、漢方医学であれば、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」などで対応するそうです。

漢方処方では、その人の体質や体力などの根本的な状態を見極めることが重要で治療に直結するようです。

1.胃腸が弱い 2.疲れやすい 3.下痢や便秘になりやすい という3つの質問から「はい」が2つ以上で「虚証」、「いいえ」が2つ以上で「実証」に分けて、体力がない「虚証」と体力がある「実証」を大まかに捉えるそうです。

原則として「実証」には体内に溜まった悪いものを出す「瀉剤」、「虚証」には、体を補う「補剤」を処方するそうです。

また、同じ症状・疾患でも虚実それぞれに適した漢方処方は異なるそうです。

例えば風邪のような熱性疾患の場合、発汗の有無により処方される漢方薬が異なるようで、「瀉剤」である「葛根湯」は汗が出ていない「実証」向きで、発汗により病邪を体外へ排出して解熱しますが、「虚証」の風邪には「桂枝湯(けいしとう)」を処方するようです。

自然に汗をかいている「虚証」の患者さんが「葛根湯」を服用すると多汗となり具合が悪くなることもあるようです。

インフルエンザの場合、第一選択薬は「実証」向きの「麻黄湯(まおうとう)」ですが、「虚証」では「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」を処方するそうですが、抗インフルエンザ薬との併用はしないそうです。漢方では検査による数値では判断しないので、治療成績を上げるためには、患者様をよく観察し、話をよく聞くことが、大事になります。

虚実の見極めにための診察方法として「四診」という「望診(体格などの視診)」、「聞診(声の調子・においなどの診査)」、「問診(上記に記載した3つの質問)」、「切診(脈診・腹診などの触診)」があります。

「虚証」は胃腸が弱く、食欲がないため、体力がなく疲れやすく、食後に眠りやすくなり、下痢も見られます。

一方、「実証」では胃腸が丈夫で食欲があるため、体力があり、疲れにくく便秘がちというのが特長だそうです。

その他、腹部に体質を反映する所見が表れるため「腹診」も重要とされています。

「腹診」により腹部に手を当てることで、患者さんに安心感を与えるという効果もあります。

例えば、「臍下不仁(せいかふじん)」は下腹に緊張がなくて、按圧(あんあつ)すると手の指で簡単にくぼみができますが、これは、婦人科系疾患など腎虚(泌尿器・生殖器・腎臓などの機能低下)の所見です。

「望診」による体格などの視診では、「虚証」と判断しがちな色白でやせ型の女性が、実は胃腸が丈夫で体力がある「実証」ということがあるので、先入観や見た目にはとらわれないことが重要なのだそうです。


生活習慣病にも漢方薬の併用が可能で、糖尿病では、西洋薬で血糖値をコントロールし、漢方薬を補助的に処方できるようです。

体重管理が必要な肥満の「実証」に対しては「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」を処方します。

慢性疾患に対して、漢方薬の服用に伴い急な西洋薬の服用中止により、症状が再発することがあるので徐々に減らしていくそうです。

ステロイド剤を多用するアトピー性皮膚炎では、漢方単独での治療が可能で、1~2年で皮膚が綺麗になります。

アレルギー性鼻炎(花粉症)には、症状が出た時だけ処方したり、体質改善のために半年~1年間継続することもあります。

気管支喘息には「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」を処方することで、風邪を引きにくくなり、発作頻度も減少します。

小児の場合、喘息発作は風邪が引き金になる場合が多いので、特に風邪予防が重要だそうです。

さらに近年、がん治療における抗がん剤や放射線療法の副作用を軽減する目的で、また術後の体力回復、免疫力の増強、生活の質の向上を目的として漢方薬が使われるようです。

例えば、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」は倦怠感、食欲不振、貧血などの全身状態の改善や白血球減少防止、免疫能賦活作用があり、延命効果が認められているようです。

学会では、イレウス(腸閉塞)の予防には、「大建中湯(だいけんちゅうとう)」、機能性ディスペプシア(採血や胃カメラによる検査を行っても、原因が特定できない慢性的な食欲不振、胃もたれ)の症状には「六君子湯(りっくしんとう)」、アルツハイマー型認知症に伴う周辺症状には「抑肝散(よくかんさん)」など処方されるという報告がされているそうです。

水分代謝がよくない「水毒」を改善する漢方薬として、むくみ、頭痛、めまい、嘔吐、下痢などに処方される「五苓散(ごれいさん)」は、帯状疱疹後神経痛の他、脳梗塞や硬膜下血腫も改善効果があるという報告があり、病態が同じものに対して、1つの漢方薬が多面的に処方できる場合があるようです。


また、例えば、咳、肩こり、便秘の症状がある患者さんに対して、それぞれ「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」、「葛根湯」、「麻子仁丸(ましにんがん)」を処方すると、それぞれの薬効を相殺したり、副作用が生じやすくなるため、西洋薬のように3種類以上の処方はせず、基本的には単剤、もしくは2種類で処方するそうです。

副作用は西洋薬に比べて少ないものの全くない訳ではないので、処方される漢方薬に含有される生薬とその量を調べます。

漢方薬に含まれる代表的な生薬は、甘草、大黄、附子、山梔子(さんしし)で、「抑肝散」は、甘草の含有量の高いため、高血圧、不整脈、浮腫などが、「山梔子」の長期投与で静脈硬化性大腸炎を生じることがあります。

また「麻黄」にはエフェドリンが含まれるため、交感神経の興奮作用で血圧上昇や動悸がみられます。

そのため、症状が重なっている患者様に対しては、一番辛い症状から治療を行いますが、主症状が改善されることで、付随する症状が改善されることもあるようです。


重要なことは漢方薬、西洋薬にこだわらず、患者さんにとって適切な治療を提供することで、苦痛を軽減でき、医療費の抑制にもつながるということなのだそうです。


本日は、私も風邪の引き始めに服用する「葛根湯」でおなじみの漢方薬について、森 由雄先生の大変興味深いお話でした。